「あのさ…」

いろんなことを考えていたら将平がきなりあたしに問いかけてきた。

「え!?うん!なに?」

あたしは思わず目を丸くする。

「哲のこと好きなの?」

「え…?」

「今日、そうおもったから」

「好きじゃないよ?しかも、昨日初めて会ったし…
それに、あたしのカンだけど結衣は哲君が好きそうな気がするから…」

「…ふーん」

将平は遠くを見ながら、そっけない返事で言った。

そしてまた静かになる。
人気もない、このとおりは、あたしたちしかいなかった。
ライトがあたしたちを照らすかのように、あたしたちには静かな空間が流れている。



「本当に久しぶりだな」



静けさであたしの緊張が高まる中、突然将平が話しかけてきた。



気がつけば、あたしの緊張もなくなっていて、いつのまにか、将平と普通に話せるようになっていた。



「…うん。懐かしいね…小さい頃はこうやって二人で帰ったりしてたよね」

「そういえば、オレと莉那が小さい頃、莉那が母親にすげぇ怒られて、お前、わんわん泣いてたよな」

「そういえば、そんなこともあったかもしれないけど…
って!そんな昔話やめてよ!恥ずかしいじゃん!」

「んでさ~お前すねて、家出する!とか言って家を出て行ったんだよな。」

「…うん。…でも、将平が来てくれたよね…」

「…オレ、まじ、お前を見つけるの大変だったんだぜ?莉那が行きそうなところ全部行ってもいないし…
いろんな人に聞いても分からないって言うし。
最後の最後に、家の近くの公園に行ったんだ。家から近すぎだから、絶対いないだろうっと思ったけど、木の家を見たら、莉那が眠ってた。」

「…うん。覚えてるよ…」
あたしは懐かしそうに、そのときのことを思い浮かべながら将平を見る。

将平との過ごした時間を忘れるわけないよ


「オレは、走って息がすげぇ荒くてさ、お前みつけたらホッとして。
気がついたら一緒に莉那と眠ってたよな…
あとから、心配した俺等の親が迎えに来て…
目が覚めたら、家にいたけどな…」

「アハハッ…懐かしいね!あのとき、嬉しかったんだよ。
一番最初に将平が見つけてくれたの。」