「おい、哲！その結衣じゃないカワイイコ誰？」
いきなり、将平と哲君の隣にいる、男の子が言った。

「あ？マサ初めてだっけ？
前話していた莉那だよ」

「あ～～！！はいはい！噂どおりカワイイね～」
「ちょっとマサ！莉那困ってるじゃん！しかもさっきの結衣に失礼なんだけど？」
結衣は顔をふくらまして怒っている。
「ブハッ結衣からかうの面白いんだもん」
「も～…マサのバカぁ～」

「はいはい。あ！莉那ちゃんだっけ？自己紹介まだだったね！
俺、昌弘！マサでいいから！」

「あ、うん。よろしくね？あたしは莉那でいいからね」
「おう♪よろしくな！」

マサくんは何回か将平と一緒にいるのを見たことがあるからすぐに分かった。
周りの女子からも面白いから評判がいい。
いわゆる盛り上げ役だ。

「あ！将平は結衣初めてだよな？」
哲君が将平に向かって言った。

「ん～そういえばそうだね？」

将平が食堂の定食を食べながら、哲君に言った。
「お前食うの早すぎだろ？？」

哲君は将平が早くご飯を食べているので文句をつけている。
親友だけあって、二人はとても仲がよかった。

「うっせなぁ～お前はいちいち」
「ったく。あ、こいつ結衣ね！バカだから」

「は？ちょっと哲！バカじゃないもん！
将平くん誤解するじゃん！あ、よろしくね？結衣でいいからね★」

「ブハッ…お前等おもしろすぎ！
将平でいいよ？結衣。」

「うんッ」

あたしは三人の楽しそうな会話をずっと黙って聞いていた。

ただ呆然と楽しく笑う将平と結衣たちの輪にも入れないあたし。


ただ、結衣に向ける将平の笑顔がとても楽しそうで、優しくて…
あたしはこれ以上見ているとおかしくなりそうだった。

嫉妬なんて数え切れないほどしてきたはずなのに

目の前で経験すると予想以上に苦しかった。