いつものように、コンビニの前でしゃべって帰る。

智香と別れて、自転車は無情に家に向かう。

帰りたくない、帰ってしまったら、今日が終わってしまうのに。

それでもいうことを聞かない私の足と。


他に行き場所を思いつかない自分が腹立たしく。

なんで、素直に言えないのかって、

なんで、もっと可愛く笑えないのかって。

自転車のペダルに「もうっ」って八つ当たりした。もう、もう!

そんなことしたら、もっと早く、家についてしまうのに。



まだ、夕陽は生きている。

商店街のきれいな歩道。買い物中のお母さんに気付いて、そっと避ける。

あれ、と魚屋のおじさんが顔を上げて私を見るけど。こちらは気づかないふりをする。


お母さんにはきっと。

今日の私の気持ちがわかってしまう。
そんな気がして目をそらす。

話そうと、決めていたのに。

侑哉の誕生日は一年で今日しかないのに。