当時、親の仕事の都合て沖縄から福岡に引っ越してきた私は、とてつもなく はしゃいでいた。

周りの光景すべてが新しく輝いてみえた。

でも、そんな私の容姿は最悪だった。

今でも後悔でしかない。

あのとき少しでも気にしていれば、今の私もこんなはずじゃなかったかもしれない。

沖縄で貧しい生活を送っていた私は、一度も髪を切ったことはなかった。

そのせいで、長く伸びきった髪はボサボサで、量は暑苦しいほど多かった。

それが今まで当たり前だったので、何も気にせずウキウキと新しい学校へ登校した。

案の定、教卓の前に立った私を クラスのみんなは目を丸くして見ていた。

そんなコトなど一切気にとめず、簡単に自己紹介をし先生に指名された席に座った。

朝のHRが終わり、教室を出た先生を目で見送ったあと、隣の席の男の子に勇気を出して声をかけた。

『・・・ヨロシクねっ!!』

『ヤだよ・・・』

(えっ???)即答で返された。

思いもよらない言葉に私は混乱しはじめた。

でもそれが合図のように、今まで何も言わなかった周りの男子が私の近くに集まってきた。

(えっ?えっ??)ますます混乱してくる。

『・・・お前、ちゃんと髪洗ってんの??』

ふいに一人の男子に話しかけられた。

バッと頭を上げ、声の主の方を見ると、その男はニヤつきながら

『洗ってねーだろ。だってお前、髪きたねーもん。』

ショックだった。

今までそんなコト言われたことなかったので、その人の目を疑った。

けれど、みんな女子も男子も私を見て笑っている。

ここに来て10分と経たないうちに、私は のけ者にされた。

また何か言われそうで怖くなった。

泣きそうになって、トイレに逃げ込んだ。

鏡を見て、自分の髪はボサボサだと自覚した。

その日は、保健室で仮病をつかって早退し、母に頼んで髪を結んでもらった。

(これでもうボサボサじゃない!!)

と安心して次の日 登校した。

でも もう遅かった。