皐月は自分の席に帰っていったが、まだ奈美は私のそばにいる。


「どうしたの?席にもどら―」


「も、もし沙緒里が羽鳥君と付き合うようになったら私……沙緒里を応援できないかもしれない……」


私の声に被せるように奈美がいった。


私が美月と……付き合う?

ふふ。そんな訳ないのに奈美はかわいいなぁ。

奈美は本当に美月が好きなんだ……。

羨ましいな。私は人を本当に好きなったことがないからわからないけど。



「なぁにいってんのよ?そんなこと絶対にないから安心して?」


「う、うん。そうだよね。あ、あはは!変なこと言ってごめん」


「大丈夫っ!気にしてないから早く席に戻りな」


「うん!後でね?」



奈美はそう言って自分の席へ戻っていった。


奈美が急にあんなこと言い出すからちょっとビックリしたけど、でも…はたから見たらそう見えるのかもしれない。


奈美や皐月は分かってくれていると思うけど、他のファンの子は分からない。


どこかで恨まれているかもしれないから今度から気を付けよう。