「いや!羽鳥君!」


「野林君だって!」



二人のどうでもいい争いに耳を傾けつつ、教室に飾ってある、3つの花を見る。

この花は、毎日奈美が世話をしている花だ。

3つとも仲良く窓から入ってくる風に揺れている。

3つ……かぁ。


私と、優と、美月みたいだなぁと思う。

右のオレンジ色の花が優で、真ん中のピンクが私。そして、左の紫色の花が美月。


この花の様に綺麗に並んで歩く私逹。
うん。悪くな――――



「沙緒里は、羽鳥君と野林君どっちの方がかっこいいと思う!?羽鳥君だよね!?」



「ほぁっ!?」


いきなりふられた話題にビックリして変な声が出てしまった。

優と美月。どちらの方がかっこいいなんて考えてもみなかった。

だいたい、そんな目で見たことがないから分からない。


「野林君だよね!?」



「ん~。私はどっちがかっこいいとかないかなっ!だって二人とも……」


二人とも………ただの、そう。ただの


「幼なじみだから。かっこいいとか分かんないよ」


「ふ~ん。そっか!なんかそういうの沙緒里らしいね!」


「そうだね!……あっ!もうすぐ授業始まるからまた後でねっ!」


「うん。後でね」



そうして皐月は自分の席に戻っていった。