「学校めんどくせぇなぁ。俺死にそう…学校にもクーラーとかあればなぁ。美月もそう思うだろ?」


「………」


「沙緒里はそう思うよな?」


「………」


「ひどい……シカトひどい」


優が泣きそうな声でぶつぶつ言っているのを聞きながら歩いていると、私たちの通う高校についた。



「じゃあな!」


「では、放課後に迎えに来ますね。ちゃんと教室にいてくださいよ?」


「うん!じゃあねぇ」




優と美月は1組で私だけが7組。
校舎が違うのにわざわざ二人は教室まで送り届けてくれる。


最初は皆の注目を集めていたものの、今となっては見慣れたのか誰も何も言わない。


「おはよー」


私は教室に入った。
席に着いたところで親友の田中 奈美(タナカ ナミ)が話しかけてきた。


「おっはよ!今日も一緒に来てたね。いいなぁ羽鳥君と登下校できて…」


「あははは」


朝から異様に高いテンションに苦笑いを浮かべる。


奈美は勝手にファンクラブまで作ってしまうほど熱烈な美月のファンだ。


そこに、私のもう一人の親友である加藤 皐月(カトウ サツキ)が若手芸人の様なノリで話しかけてきた。



「いやいやいやいや。野林君のがかっこいいからね!」



彼女もまた、私の幼なじみの熱烈なファンだ。