「絵美っ!!」
栗本くんが走ってくるのが見えた。
栗本くんは絵美ちゃんを乱暴に揺すり起こした。
「絵美!!何寝てんだよ、こんなとこで!!風邪引くぞ!!」
さすがに絵美ちゃんは起きた。
「和真……?」
それからわたしの方を見て、ああ、あんたもいたんだと言った。
「絵美、帰るぞ。立てるか?」
なんか居心地悪い。
栗本くんは心配そうに絵美ちゃんに話しかけているけど、絵美ちゃんは耳元でうるさいと文句を言っている。
見た目は美男美女のお似合いカップル……
わたしは絵美ちゃんの落ちたコートを拾って手渡した。
「邪魔しちゃ悪いから帰るね」
ホントは絵美ちゃんに聞いてほしいことが沢山あったけど、気をきかせて言ったつもりだった。
が、振り返ると、二人とも、は?という顔をしている。
絵美ちゃんは突然笑いだした。
「何言ってんの?あんたそれ、なんか勘違い」
栗本くんも笑っている。
今度はわたしが理解できなくて、は?という顔をしている。