「間宮さん、見すぎ。意外と失礼なんだ」

顔がかぁっと赤くなるのがわかった。

「ごめん」

絵美ちゃんはまたふうん、と言うとそのまま公園の中に入って行った。

来たことない公園だった。

滑り台、ブランコ、ジャングルジムにシーソー。
どこにでもある普通の公園。

ただ違うのは…バスケットのゴールがあること。

絵美ちゃんはいつの間にかコートとブレザーを脱いで、手袋とマフラーとリボンをはずして、スカートにセーターという格好になっていた。

「何してんの。あんたもやるんだよ?」

絵美ちゃんはバスケットゴールを指差した。

なんで―…

絵美ちゃんは早くしてよ、寒いんだから風邪引くじゃんと文句を言っている。

「…なんで」

「わたしに付き合ってくれるんでしょ?わたしはバスケしたいの」

絵美ちゃんは何てことないというように言った。

でも偶然…じゃないよね

絵美ちゃんは気づいているのだろうか。

気づいていて、気をつかったのだろうか。

バスケ…したい

体の内側から熱があふれる。

わたしも絵美ちゃんと同じ格好になった。

どこで拾ったのか、絵美ちゃんはいつの間にか持っていたボールをわたしに投げ、構える。