「行かないで」


うつむいたメガネくんの肩が震えていて、無意識にサラサラの髪を撫でた。


「…こらこら、可愛いこと言わないで、離れられなくなっちゃうぞ」

そこら辺の女子なんかより素直で可愛い私の彼氏。



別れを言うタイミングをずっと見計らってた。


だってこのままでいいわけない。



私の恋愛の履歴は、海と別れたあの日から、ずっと止まったままなんだから。

これ以上、キミを巻き込めないよ。


だから分かって、メガネくん


「…困ったなぁ。」


ぽつりと出てしまった心の声に、メガネくんが固まったのを感じて、罪悪感に似た感情が心を支配する。


「なんでかなぁ…、なんでそんな悲しい顔するかなぁ…。」