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グラウンドに続く階段の先を見つめても、そこにはもう、エースの姿はない。


控えめに鳴ったノックの音に、背筋を伸ばしてドアを開けた。




「あの…」


恥ずかしそうに俯いた、長めの前髪にまん丸メガネの男の子


「あ、入部希望?」


「いえ、マネージャーに…」


「え?」


「マネージャーになりたいんです。」

「えっと…、マネージャー?」


「はい…、ダメですか?」


まん丸縁の奥の瞳がくりくりしてて、申し訳なさそうに見上げた顔は意外と可愛い




「ふふっ、ダメじゃないよ」


「えっと、僕、1年…」


「話はあと、ちょっとこっち来て」


携帯に収められた緊張気味の笑顔。

近づいて見たら真っ赤な顔で後退りするから、からかい半分で、メガネに手をかける。


「ねぇキミさぁ、」


はい?小さな声で答えるからますますいじめたくなった。


「メガネ…外してみていい?」



煙が出そうな表情で固まる彼の整ったベビーフェイスは案外ストライク



「かっこいいけど、メガネもかわいい」


「…あの…僕で遊ばないでください…」


「あ、ごめん。」


相変わらず真っ赤な顔で言うから笑いを堪えるのに必死だった。


メガネを掛けなおした彼に改めて自己紹介をした。



「よろしくね。メガネくん」