僕は、生まれた時からいままでの事を、おもしろおかしく話した。29年の人生から里美だけを抜けて。あとは正直に。いや、タッチダウンまでの距離は何ヤードか増えていたかもしれない。僕は生まれて初めて見栄を張ったのだ。このまま喋り続けたら、トライ・フォー・ポイントでは月までボールを蹴った、なんて言い始めるかもしれないくらい、自分を良く見せようと必死になっていたみたいだ。


ターミーは興味深そうに聞いてくれた。いちいち頷いて僕の目を覗き見る。


(そんな瞳で見つめないでくれよ、ノックダウンしそうだよ)


僕のアルコールの量は急ピッチで進んで、更に饒舌になった。


(大統領候補者だって、こんなに滑るように演説はできないだろうな)