ロマンチックな夜にムードのある音楽。傍らには可愛い〔恋人〕


里美の影がチラと横切った。悲しそうな顔をしていた。僕が怪我をしたときに見せた表情だ。そういえば、僕は里美の悲しげな顔をあのとき以外には知らない。ターミーのことを知ったら彼女はどんな顔をするのだろう。僕には想像がつかなかった。それほど里美と僕の生活は凪が続いていた。


「・・・たしも、それがいい」


「えっ?」


ターミーの声が、僕の脳裏から里美の画像を一瞬にして消し去った。