ターミーは、終わってしまった何気ない会話を引き出した僕の気持ちを、知ってか知らずかじらすように微笑んで言った。

「うふふ。気になるの?マサヤ」


「別に。ただ知らない名前が出てきたからさ」


僕は惨めな言い訳をしている自分が、とても恥ずかしくなった。


「彼は、プロムナイトには男性のエスコートが必要などと言う、くだらないルールの為にに女子の犠牲になった気弱な男子生徒の一人よ」


「それだけ?」


「当たり前よ。下手にプレイボーイなんかに頼んだら、益々いい気にさせるだけだもの。ステディがいない時の相手は、おとなしい男子に限るわ」


ターミーの言ってる事は本当らしかった。いや、もし嘘でも僕はそれを信じただろう。


「ウエイター、お代わりだ。僕にはバーボンのソーダ割りを、彼女にはオレンジジュースを!」


僕の声はみっともないほど弾んでいた。


実際僕は浮かれていた。