「何も、マサヤといる時間外まで仕事を入れることないのに」
ジョージの姿が消えるとターミーが不機嫌そうに言った。
「君は僕と二人きりじゃ不満かい?」
僕は余裕の笑顔で言った。そう言いつつもターミーの様子が満更でもなさそうなのを読み取ったからだ。
「まさか、マサヤと話してるの楽しいもの」
思った通りの返答に、僕はすこぶる満足した。が、すぐさまさっきの話題を思い出して露骨な質問を投げかけてしまった。
「ターミー、アレックスって・・・誰?」
僕は初恋の相手に告白する少年のように、稚拙でぎこちない質問のしかたをしていた。
(何が余裕の笑顔だ!)