「だから、生活費はキチンと払ってるだろ」
「駄目駄目、お金の問題じゃないよ。二人の子供たちもそろそろお父さんが必要な年頃になってきたの。毎月セブに来てるんだから、滞在の日にちを少し延ばして子供たちとコミュニケーションとってもらわないと!」
「んなこと言ったってお前・・・日本の仕事を疎かにする訳にもいかないしなぁ」
「それに私、また出来たんだよ。日本の奥さんに勝ったもんね」
「なんてこったい、で、いつ産まれるんだ?」
茂みの中の男の方は、聞き覚えのある声だった。すぐに和樹のものだと分かった。
僕はとっさに踵を返した。
女がいるどころか、子供までいたのか。それももうすぐ三人目が産まれるなんて・・・。
僕はふらふらと歩き出した。