彼女はとても厚化粧をしていた。しかし、年はそうとう若いなと僕は思った。声、そう声が幼かったのだ。
(どうやってやり過ごそう・・・)
「家は無理にしても、僕らがたっぷりと豪華な食事にありつけるのは確実だね」
僕はふいに、今夜まともな食事にありつけなかったことを思い出したのと、食事に誘うとは我ながらいい考えだと思って、そう言った。
「それに食後のデザートもよ」
僕の気遣いを無視するように、少女は僕に向かって腰をくねらせ、ウィンクをした。
(だから、そっちはいいって・・・)
「ふむ、とりあえず腹ごしらえをしよう」
僕はディーラーにチップを弾むと、彼女にそう言い、すみやかに席を立った。