約束の時間がきて、僕らはホテルの駐車場へ向かった。


和樹が遅れて行ってくれた所は、賭博場だった。うっそうとした森に囲まれたそこは、夜の異様な雰囲気も手伝って、一種独特の香りを漂わせていた。


ギャンブルといえば、僕はテレビでしか知らないが、モナコやラスベガス、リノといった豪華なカジノが思い浮かぶ。けれどもそこは、静かで暗くて冷たくて、なぜか僕の抱いていたイメージとは程遠かった。


賭博場は客が少なく、僕らはルーレットやブラックジャックのテーブルを渡り歩いた。


カジノには、ひととおりのゲームが揃ってはいた。