「あ、ありがとぅ」

嬉しそうにほほ笑んだ結衣は、

すごく、愛おしく見えた。


もうすぐ、映画館に付く。

「ねぇ、どれ見るの?」

僕が結衣に聞くと、

「教えなぁ~い」

と教えてくれない。

.....何でだろう?

「じゃぁ、行こぅ?」

結衣が、片手にチケットを

持ち、僕の方へ向かってきた。

「あぁ」

「とっても、いぃ映画だよ」

「そう。じゃぁ楽しみにする」

それから、僕と結衣は

ポップコーンを買い、席に着いた。

「あ~、楽しみだなぁ」

席に着いてから、はしゃぐ結衣。

「そんないい映画?」

「ん~、いい映画なんだけど、

とっても切ないお話のね」

「それが面白いの?」

「うん」

僕と結衣は、映画が上映するまで

淡々と話していた。

『まもなく、上映します。』

アナウンスの声が聞こえ、皆

静かになった。

妙に緊張している、結衣と

僕がいた。