だんだん、季節の変わり目に

なったきた、夏の終わりごろ。

僕と、結衣は本格的に

付き合っていた。

「おっ、お待たせぇ」

「あぁ」

いつもより、少しおめかしをした

結衣が駆けてきた。

「綺麗だね」

「あっ、ありがとぉ」

赤くなりながらも、僕を真っすぐ

見る、結衣。

「今から、どうする?」

「.....行きたい」

「え?」

「映画行きたい....」

結衣は、リンゴのように

なった頬を両手で押さえ、

僕に言った。

「う、うん」

「えっ?いぃの?」

「うん。行こう?」

わぁいと嬉しそうにハシャグ

結衣。

「私、恋人と映画デートが

夢だったの」

恥ずかしそうに下を向きながら、

僕に言った。

「何だ。簡単なことじゃん」

「か、簡単じゃないもん」

「僕がいつでも連れてってあげるよ」