夏休みも終わりに近づいている。

そろそろ、結衣が帰ってくる。

「なぁ、結衣ちゃん帰ってきたら

何て言うん?」

「さぁ、まだわからない」

待ち合わせの3時30分になった。

待ち合わせ場所は丁度結衣を送った、

あの駅前だった。

「そろそろだな」

「利久、緊張してるか?」

「まぁまぁ」

だけど、結衣は来なかった。

結衣が約束を破るのは、

初めてのことだった。

「......。」

「元気だせって」

「....キスしなければ」

「はぁ?キスはいいんだよ!」


そして、段々僕の中に『不安』と

いう、初めての気持ちが、

生まれた。

僕の、結衣が“取られる”

誰かに、奪われてしまう。


全て、愛おしい君が.....。


『結衣』が。


僕は、その日。ろくに食事を

とらなかった。