それから、いく日かが過ぎた日。

「えぇ?もぅ、行くの」

「うん。もぅ時間だし」

僕と、結衣は駅に来ていた。

結衣の見送りだ。

「でも、ありがと。」

「え?」

「見送り」

結衣は綺麗な栗色の髪を靡かせ、

僕に笑顔をむけた。

でも、もぅ。

タイムリミットだ。

言わなきゃ、いけない。


プルルルル―.....


電車の発車時刻になった。

僕の、準備はできた。

「じゃぁ、夏休み明けまで」

「......。」

「利久く-......」

その時は、無我夢中だった。

君に。

いや.......

結衣に触れることに。

「じゃぁ、さよなら」

「.....りっ、利久くん?!」


プシュ-.......


初めては切ないもので、

始めては嬉しいもの。


『君に初めてキスをした』