そこは、ゆうゆうと草木が
生い茂っている場所だった。
「ここが、私の宝物なの」
結衣が前から僕に、
『いつか、利久くんに見せたいなぁ』
と言っていたのを思い出した。
「ここ?」
「そぅ。ここなの」
そこは、今までに見たことのない、
とても綺麗な草原だった。
風が吹くたびに、草木が光りを反射させ
銀色に輝いていた。
「私、落ち込むとよく、ここに
来たの」
「ふぅん」
僕もよく、落ち込むと昔、
こういう風な所に来ていた。
「落ち着くの」
「.....わかるよ」
それから、僕と結衣は草原に
腰を下ろし、2人で夕焼けを見ていた。