「先輩?」
「あぁ、結衣ちゃんのファンクラブ
もあるからな」
「はぁ、呆れる」
でも、この時ある妙な気持が
あった。
『そんな結衣が何で俺にかまう?』
まぁ、誰にでも思うことだけど。
「利久くん、今日は委員会だから
先に帰ってて」
結衣に素っ気なく言われ、
多少傷ついた。
「じゃぁ、俺と帰ろうぜ」
俊一が僕の肩をとった。
「おぉ」
外は、薄いオレンジ色に
空が染められていた。
「でもよぉ~」
「ん?」
「結衣ちゃん、早くモノに
しないと取られるぜ」
「......。」
「ホントは惚れてんだろ?」
「......。」
僕は、何も答えられなかった。
ただ、嫉妬。をしていた。
結衣のことをしらなすぎる
自分に。
家に帰り、いつものように
冷えた炭酸飲料を手に取った。