「でもね、そしたらオープンにつきあえるねって、先輩が言ってくれてね!」

「…そうなんだぁ!それも待ち遠しいね。」


先輩との交際も、もう半年以上になる鈴ちゃん。


しかも相手は年上だというのに、その健気さに比べ…私は、なんてコトを…


恭一が追い掛けてこないのも、ムリもない。


「あたしって、フシダラな女?」

「あのねぇ、私からしてみれば、みっちゃんと北村は、昔からつきあってる気がしてるから、“やっと?”って感じなんだけど。」

「ホント?」

「ふふ、気にしてんだぁ?…大丈夫!嬉しかったよ、きっと!」


鈴ちゃんに慰められ、自分のクラスに戻る時、

歩いてくる、何人かの群れの中に恭一をみつけた。


一瞬、たじろぐ私の頭を
すれ違いざまに、
指でツンと突いてきた恭一は

「なにイチャついてんだよ」と、

周りにからかわれた。



その日の帰りは、陸上部と重ならなかった。


ホッとして家路を歩いていると、後ろから
タッタッタッと走ってくる足音が…

振り返ると恭一だった。


「おまえ、タフだな〜!散々走ってたんじゃねーの?」

隆志が言うと、皆は笑っていたが

「ちょっと、“みち”に話があって」

その言葉が、一瞬にして、ピタッと黙らせた。