放課後、先生の指示通り、
私は指導室のドアを開けた。

そこではすでに、先生と恭一が座っていて、
何やら話の最中だった。

「…なにお前?」

「あ、…えっと…」


「勘弁してくれよ〜」

椅子に踏ん反り返ってみせる恭一は

「そう言うなよ北村〜。彼女、心配してくれてんだぞ〜」と、

なだめる先生に、

「彼女じゃねーよ!」と

そっけなく言った。


「そうなのか?なんだ、先生はてっきり」

「つっ!るせーな、何なんだよいったい!」

「陸上部に入るよう、一緒に説得してもらおうと」

「なにコイツまで巻き込んでんだよ!」

「おまえは、チームプレイは苦手だけど、陸上なら個人競技だからって…
随分親しそうに言ってきたから…悪かったなあ。」

「…リレーはどうなんだよ」

「出なきゃイイ!」

「はぁ?バカじゃん!そんなの意味ねーじゃんか」

「なんだ、リレーがやりたいのかー?」

「例えばの話だよ!」

「…おまえ、言ってたろう…陸上部の奴が、俺の入部を認めないって…
だから聞いてみたけど、
皆、ハナっから、
“北村が入るわけがない”ってさ〜、あはは。
でもな、おまえの運動神経は認めてたゾ。」

「…俺が部員になんかなったら、大会に出る前に不戦敗だよ」

「なんで?」

「俺、気が荒いから、いろんな敵が多いし、問題起こして迷惑かける…」

「…なんだ!?そんなこと心配してたのか?…」