「ナンだカンだいって、邪魔が入るんだよぉ。
あっちは、何をしても、
大会上位進出の、名門みてーな学校だろ…監視がハンパじゃなくてよう。」

「へー。」

「本多がこっち来たのも、偶然じゃねーよ、絶対」

「…で、喧嘩の原因は?」

「ああ、“ここの男子は大したことねー”とか、“10年早え”とか…11番がタイプだとか…ソレ、おまえのコトだろ?」

「…」

「ところで、おまえと恭一ってどうなってんの?」

「どうって?」

「つきあってんだろ?」

「!ナイよ!」

「え!マジで?だって、聞いたよ俺、恭一から“俺の女”って」

「な、なにそれ!?」

「あ、違う!“俺のモンになるから、おまえ等、ムダだから”って…随分前だよ。
俺が、お前の事知らなかった頃。
何言ってんだよって感じだったけど、
そんなこと言う恭一が意外でさ、
よっぽど惚れてんだって思って、皆、ソッとしといたんだよ」

「いつ?」

「えー、なんか、おまえと恭一が言い合ってる時だったよ…
あ、おまえが部活に行く時だ!
俺等とすれ違いざまに睨みつけてきて、
コエー女って印象だったから、
どこが好いんだ?って思って、あ、おい!」


話の途中で、私は走りだした。


職員室を覗いたが、本多の姿はなく、

もう一度階段に向かうところで、ちょうど、あっちから歩いて来てくれた。

「先生!」

「おお!何だ、慌てて?」

「北村恭一の件で、お話が…」