「さっきの1年の野郎も、昔、恭一にシメられてるって、知ってた?」

「え?」

「あいつ、おまえのこと、からかってたろ?」

「うそ!」

「恭一はさ、昔っから、みっこのことが好きだったのに、おまえは鈍感で、温度差がありすぎだし…」

「ちょっと待ってよ!」

私は、話についていけてなかった。

「いつも、おまえのこと、自分のペットか何かみたいに連れ回してっから、おまえにも恭一にも良くないと思って、クラス替えを機会に、俺が引き離したんだよ。」

「あたしに女友達をって、聞いたよ!」

「ってことにしといたの…なんだよ、いつの間に聞いてんだよ?」


何も知らなかったとはいえ、
文句を言って、嫌われたと思い込み、開き直っていた自分を

腑甲斐なく思えて、しかたがなかった私は、

なんとかしたい気持ちでいっぱいだった。


とにかく私なりに、順番に整理していくことにした。

まずは、あの試合の時、
恭一と一緒に居たという、
隣の席の、“矢部君”に、

あの時の、私の言われ様を聞いてみた。

「何、いまさら?」

「うーん。また試合があるからさ、ちょっと思い出してさ。(嘘も方便だよね!)」

「へー、おもしれーじゃん、それ。いつ?」

「そう言うことじゃなくて!」

「っていうか、結局、決着ついてねーからよう、お前等、絶対負けんなよ!」

「…因縁の対決って感じだね。」