(きょーちゃんは、全然、優しくない!…あたし、嫌われちゃったんだ。)


あの日から、そんなことばかり考えている私は、

学校でも何処でも、
恭一のことを無視しつづけた。


でも、恭一は、
そんなこと、少しも応えてないようで、

懲りずに、
今度はその学校との、
決闘ならぬ喧嘩の準備が、
秘かに、進められているとかなんとか…


殴られた選手が、
喧嘩慣れをした友達を送り込んで来ると言うのだ。


相当、恨まれた恭一だった。


男というものは、
気にいらない相手でも、
拳を交じ合えば解りあえて、
豪快で、後腐れ無いもの。

そんなイメージを持つ私は、
いつも、羨ましいと思っていた。

が、

ただの、単純な生きものなんだということが、わかってきた。


あれほど恭一のことを、
目の敵にしていた上級生だが、

今回の喧嘩で、
もしも、恭一がボコボコにされたなら、
うちの学校の名が汚されるからと、
一致団結。


なんのこっちゃ…


練習試合での揉め事が、
いつしか、
学校同士の対決にと発展し、
大げさになっていった。


もう、どうでもいい。
あとのことは知らない。