嫌な予感は的中した。

喧嘩というより、
一方的に殴りかかったのは、
やはり、恭一だった。


もちろん、他にも仲間が居て、
慌てて取り押さえたから、
たいした怪我に至らずに済んだ。


話では、
ハーフタイムに、トイレへ行った相手チームが、
うちのチームをコケおろし、
それが聞こえて、言い争いになったとのことだが、

やはり、殴ってしまったのはマズかった。


気持ちは、ほんの少し嬉しかったけど、
私を含め、皆、
最後まで試合が出来なかったという、
この、消化しきれない気持ちを、
どこかに、ぶつけたくていた。


そこで私は、思い切って
恭一を、あの公園に呼び出した。

反省しているのか、
すぐに姿を見せた恭一の

「何?」

この言葉にカチンときた。

「何って、分からない?」

「ああ、あのこと?」

「…私達に、何か言うことがあるんじゃないの?
あの試合、不完全燃焼なんだけど!」

「だって、あのまま続けてても、どうせ負けてたろ?
中断したおかげで、恥かかずに済んだじゃん。」

「…何それ。信じられない!」

私は、こんな男が好きなのだ。
こんな男のことを、必死に信じているなんて…
自分を情けなく思った。

「もうイイ!知らない!」

そう言って、公園の出口に向かって行っても、
恭一は、引き止めなどしなかった。