「そっか。いつまでも、“たー君、きょーちゃん”とは呼べないかぁ」

「俺は別にイイんだけど、周りが、そうなってきたから」

「そっか〜。私もね、友達と話すとき、北村って名字で言ってるんだ〜。」

「俺の話?…どんな?」

「えー、色々。」

「何だよ?」

「たいしたことじゃナイよ…」

その時、


「あれ〜!もう食べてるの?」

やっと、鈴ちゃんの登場だ。


「遅いよ〜」

「ごめーん。園田は?」

「じゃあ、俺帰る!ちょっと用事があるから。あんがとな!」

「え〜!」


私と鈴ちゃんは、声を揃えて呼び止めたが、
恭一は、足早に去って行った。


「ねぇ、何話してたの?」

「ん?別に…」

「仲直りできた?」

「ああ〜、どうかな…」

「なにそれ〜」

「いいから、自分のこと心配しなって!そろそろ、園田も来る…ほら来た。たーくーん!」


自分の番が過ぎて、気が楽になったのか、
恭一と話ができて、やっぱり嬉しかったのか、

私は、飛び跳ねて、手を振っていた。


その日をかわきりに、

昔の様にとはいかないが、

私達、三人の間にあった、
あの気まずい空気は、
晴れたかの様に思えた。