「実はね、私、みっちゃんと園田の仲を疑ってたんだ〜。」

「はぁ?」

「でも、あまりにも鈍感で拍子抜けしたよ。」

「ちょっと待ってよ!あたしと、たー君?」

「っていうか、園田がみっちゃんを…」

「ナイ!ナイナイ!」

「だって、みっちゃんは北村を追っかけてて、気が付いてなかったもん!」

「意味が分かんない。なにそれ?」

「…何でもナイならさ、チョコ渡すのつきあってよ!
クラスの違う私があげるのも、変に思われちゃうし…
ついでにみっちゃんも、北村にあげれば?」

「だから、なんで〜」

「あの二人仲イイから一緒に。
中学行っても、ヨロシクネって!」

「でもあたし、避けられてるんだよ!」

「じゃあ、仲直りしましょうチョコってことで!」

「ん〜、でもな〜」

「お願い!このとおり!」


必死な説得に、

(鈴ちゃんが一緒なら、その場も何とかしてくれるだろう)と、

渋々、了解した。


私の担当は、恭一のチョコを買うところからだった。


(手作りだと重いから、あくまでも義理っぽく…)

そのわりには、
随分と時間をかけて選んだ
市販のチョコを持って、

待ち合わせの場所の、
母達がデビューした、あの公園へと向かった。


その足取りは、決して軽くはなかった。