「やっぱり隆志だ。」

大学の友達と、珍しく飲みに行った店でのことだ。

アルコールがすすみ、トイレに立った時、
後ろから、そう呼び止められた。

酔いも手伝って、その女が誰なのか、はじめは分からなかった。

「分かんない?」

「えーっと。」

「鈴木だよ!鈴木菜月!やだな〜もう。」

「おー!なんだよ、分かんなかったよ〜。化粧なんかしちゃってよ〜。」

「そりゃーするよ!もう、二十歳だよ。」

「…だよな〜。それに比べて、みっこなんか、いつもスッピンだぞ。」

「あははは。若いな〜!…みっちゃん元気?」

「あー。彼氏とサーフィンとかして、パワーアップしてるよ。」

「へー。…それは良かった!」


鈴ちゃんこと鈴木菜月は、
サークルの親睦会とかで飲みに来たとかなんとか。

みっことはどうだか知らないが、
俺は、恭一の葬式以来、
本当に久しぶりの再会だった。


しばらくすると、鈴木達の集団は御開きになり、

微酔い加減で俺に手を振り、
鈴木は店を出て行った。


そのうち、俺等も会計を済ませ、店を出た矢先…

「もう!遅いぞー!」

外で鈴木が待っていた。


俺は慌てて友達と別れ、鈴木の方へ足を向けた。

「何やってんだよー。」

「それはこっちのセリフだよーだ。」

「…酔ってんの?」

「酔ってないヨ〜。」