俺は園田隆志。

ひょんなことから念願かない、
ひと里離れたホテルで、
“恩田未知子”と二人きりになることができたのだ。

そして…


みっこがシャワーを浴びている最中に、
俺は、カバンから、こっそりケータイを取り出すと、

“寺岡慶太”の番号を引き出すことに成功。


翌々日、

俺は寺岡のことを、海岸で待っていた。

俺が連絡をつけ、
寺岡が場所を指定した。


予定より、10分遅れておきながら、
奴はノソノソと姿を現した。


(余裕かましやがって!でも、それも今のうちだ!)

そう、心でつぶやきながら、強気で奴を睨みつけた。


「話って?」

奴も随分と強気だ。
でも、俺は負けない。


「わかってるんじゃないんですか?」

「俺が話したいのは、お前じゃねーし!」

「着信拒否ですか?だってあんた、会わす顔、無いんじゃないんすか?」

「てめーにはカンケーねーんだよ!」

「…そうですね。もう、みっことも俺とも、関係ないかぁ。」


寺岡は、急に背筋を伸ばすと、
眉間にシワを寄せたのがわかった。

「もう、あんたは必要無くなりましたから。」

「なんだあ?」

「あいつはやっぱ、俺じゃなきゃダメなんだ。」