海でほっとかれた代償として、
その帰り、
家のそばの公園に、慶太を引き止めた。


どうってことの無い話をしては、
互いに、帰るタイミングを、わざと逃している時だった。


「みっこか?」

公園の外から隆志が声をかけてきた。

そして、ゆっくりとこっちに向かって歩いて来る隆志に、

「う、うん!今帰り?」


あの喧嘩があって以来、
久しぶりに隆志と口をきくので、
少しぎこちない返答をする私。

すると、
慶太の前で足を止め、無表情で隆志は言う。

「紹介してよ…前にも見た顔だけど。」

「あー。…寺岡慶太くん。サーフィンに連れて行ってもらった帰りなの。」


隆志は、公園の外にある、ボードを積んだ車を見ながら、

「ふ〜ん。寒い中ご苦労様。」

と、強気に言った。


「未知、俺にも紹介して。」

挑発的にもとれる、隆志の態度に対し、
一年でも、年上ぶった慶太は、
余裕を感じさせる様に言ってみせた。


「園田隆志…くん」

「あ〜、幼なじみの〜」

ここは慶太の方が一枚上手だった。

しかし、

「いつも、未知が世話になってるとかで」

「あんたに言われる筋合いは無いから!」

一気に険悪なムードに…