「ヤツのどこが良いの?」

「…きょーちゃんと似てるの。」

「はぁ?」

「だってね、本当に同じこと言うの!きょーちゃんが戻ってきたみたいに」

「おい。」

「それにね、きょーちゃんを忘れる必要もないって」

「しっかりしろって!アイツは恭一じゃない!」

「でも…あたしの中に、自然に入ってくるんだもん…」


頭をかきながら、ベッドに座り込んだ隆志は、
大きくため息を吐いて言った。

「いつから?」

「会って、3週間ぐらいかな?」

「たった3週間で何が分かるんだよ!」

「分からないよ!だから、つきあってみようと」

「じゃあ、まだつきあってないんだな?」

「言葉ではね…でもあたし、キスを拒まなかったから…」

「キスしたの?」

「突然されたの」

「…キスってのはな、その気があるから成立するんだ!おまえに…隙があるから…認めないからな…そんな奴、恭一と似てなんかないだろ!」

そう言い残し、隆志は帰って行った。


しばらくして、

「喧嘩した?」

と、部屋に顔を出した母は、

背を向けたまま、ただ首を横にだけ振る私に言った。

「ドラマ、あれから進展なかったよ。こっちの方がおもしろそうだったかな〜」


それから、隆志とは全く会わなかった。