時計が10時を回る頃、

私を送るという口実で、
ふたりはパーティーを抜け出した。


「ごめんな。あんまり相手できなくて。」

「ま、レナちゃんがそばに居てくれたからナントカね…でも、あたしには不似合いな場所だってことが分かったから、これからは気にせず、一人でどうぞ。」

「怒ってる?」

「うううん!どういうとこか、良い経験になったヨ!でも、やっぱりもう…」

「ごめんな」

「謝らないで。悪いことばかりじゃなかったし。(良い話も聞けたもん!)」

「なにか、あった?」

「たいしたことじゃないの!…慶太くんと逢ってなかったら、…一生、知らないことだった、ってとこかな!」

「おまえ、酒飲んだ?」

「まさか!」

「なんか、今日は素直じゃね?」

「え〜、いつもですけど!失礼なぁ…」

話してる途中、
柔らかい感触が、私の唇を覆った。


「…なにするの急に…」

怒らない自分に驚いた。

「我慢できなかった。」

「路上なんですけど。」

「初めてじゃないじゃん。」

「…そんなとこまで見られてたの?あたしと…」

「…今日は怒らないんだなぁ。」

「呆れてんの!こんなあたし…どこが良いのかなって。」

「全部なり〜。…昔も今も、丸ごと含んで。」

「…でも、あたしは、きょーちゃんを忘れないよ。(何言ってんだろ?あたし。)」

「…いいよ。」