「ごめん。なんか、そんな感じがするから。」

「…あれ?弱気?」

「ばっか!負ける気はしねーけど、」

「しねーけど?」

「ホントに終わってんの?元カレと…」

「…」

「お前が、ふっきれないで居る、だ・け・なら、こっち向かせる自信はあるんだけど〜!」

その強気な言葉を、私は待っていた気がする。

「俺、ドロドロしたのは勘弁だから…」

「めんどい?」

「そんなもん…俺だけのもんじゃなきゃ、嫌だからに決まってんだろ!」

「…」

「で…どうなの?」

「言われてみれば、別れの言葉は無かったな〜。」

「でた!マジで?」

「…即死…だったみたいだから…」

「…マジかよ?…シャレになんねーじゃん…」

それからのふたりは、しばらく無言だった。


帰り際、散々考えていたのか、
やっと、慶太は口を開いた。


「忘れなくてもいいよ!」

その瞳は、私のことを真っすぐ見て、話続ける。

「俺も、あの時のお前等のこと、忘れられない気がするし。」

私の方が、目をそらしてうつむいた。

「それとも、この辺の思い出は、あんまり荒らされたくない感じ?」

私はうつむいたまま、
首を大きく横に振った。

「…じゃあさ、増やしていこうぜ!新しい思い出…。」

その言葉に、思わず私は吹き出してしまった。