彼のバイト先は、サーフショップで、
確かに、私一人では立ち入らない…入りずらい店だった。


「しかも、ホントは今日、俺、出番じゃないし。」

(そうだったんだ〜!それはあぶなかった…こんな、場違いなところ。)

「なんか、俺達、引き寄せられてるって感じ?」

「あなたに会いにきたワケじゃないの!なんか、久しぶりに散歩しようかな〜って、」

「マジ〜!余計に運命感じちゃうよん!」

(…めでたいヤツ。)


慶太のノリに頭を傾げながら、
店を背にして景色を眺めた。

(なるほどね…)

目の前に映る、この海岸線は、
恭一と二人で歩いた、散歩道だ。

(ここから見られてたってワケだ)


「もしや、思い出に浸ってまっか?」

「…こっちから見ると、感じが違うな〜と思って。」

「…丸見えでしたとさ〜。お前ら、ベタベタし過ぎずに自然でさぁ…つきあい長かったんじねーの?」

慶太は、ポケットの中から小銭を取り出し、
横の自動販売機にお金を入れながら言った。


「幼なじみだったから…」

「うわぁ〜、そのパターンか〜!…何飲む?」

「え?ああ〜レモンティー(調子イイな〜コイツ)。」

「ОΚ。…初恋ってやつ?やっぱ上手くいかないもんなの?」

「…」