病室内がおさまった頃、
時計は、深夜の1時を回っていた。

「お母さん、ごめんなさい。あたしのために…」

「ふふ、どうしたの?」

「起こしたらイケないと思って…電話がしたかったから。」

「こんな時間に?誰に?」

「隆志。」

「…。」

「どうしてる?隆志。」

「かなりショック受けてるわ。分かるでしょ?」

「…。」

「やっぱり本当なんだ…」

「…信じたくないけど」

「どうして事故になんか?」

「大型トラックとね…」

「どこで?」

「今日はもう遅いから、明日にしましょう…ね。」

「だって、眠くないんだもん。いっぱい寝すぎて、」

「寝てたんじゃないわよ。気を失ってたの…2日間もよ。…心配したんだから!」

母の目に涙があふれるのがわかった。

「きょーちゃんが夢に出たって言ってたから、一緒に連れていっちゃうんじゃないかって…そしたらお母さん、きょーちゃんのこと、一生恨むとこだった!」

「…」

「たった独りの娘だもん。」

そう言って、撫でてくれる母の手は心地よく、
私は、少しずつ、冷静さを取り戻しはじめた。

「きょーちゃんね、もう、会えないって…ごめんって…」

「…そうだったのね。」

「…じゃあなって…」

「きょーちゃんも心配して…夢枕に立ってくれたのよ。」