そして、耐えきれずに、すすり泣く私に気づくと、
そっと近寄り、手を握った。


「どこか、痛むところはない?」

母は身体を心配してくれていた。

「レントゲンではね、頭も骨にも怪我は無いって、」

「痛いの…」

「え?」

「身体のどこかが、もぎ取られたみたいで…」

もう片方の手で、私の身体をさすってくれる母は、

「それは、生きてる証拠よ。」と告げた。

「家の前の通りだから、そんなにスピードが出てない車で良かったけど、」

「…たかった…」

「え、何?」

「死んで、きょーちゃんの所に行きたかった!」

「…馬鹿なこと言わないで!」

母はもの凄い剣幕で言い放つ。

そんなことも分かっていて、口にした言葉だった。

そして私は、毛布を頭からかぶると、
大声を出して泣きわめいた。


しばらく、そうしているうちに、
泣き疲れて眠ってしまったらしく、
次に目が覚めた時は、
夕焼けのオレンジ色が、毛布から透けて感じとれた。


少し寝すぎたようだ…

頭がボーッとして、
身体も怠く、
ほのかにする、食事のにおいに、吐き気すら催した。


そこへ、ドアが開き、看護師が入ってくるのがわかった。

「どうですか?」

「ええ、まだ〜。」