そんな恭一と、昔の自分が重なり、
男の子も彼女の事で、
こんな風に悩むんだと感心した。

しかも、この恭一が…誰も想像つかないだろう。


「あたしのこと、もう少し信用してよ…」


本来、男にはドンと構えていてほしい私は、
理想の男像に、恭一を当てはめていたところがあった。

『俺の女に手を出すな』じゃないけど、
そんな風貌のくせして、
思いもよらず、優しかったりするところが、たまらなく好きで、

嫉妬しても、怒ってるぐらいが嬉しかった。

だから、私のことくらいで落ち込まれると、ちょっと…。


「(このままじゃダメだ!)どうしたらいいの?」

こっちを見た後、
何も言わず…言えずに目をソラす態度に、
なにか、ピンときた私は、

「部屋で話そ…雨だし…」と、切りだした。



家に入ると、タオルをとってきてくれた恭一に

「ありがとう」と歩み寄った。

そして、私の制服を拭いてくれる、恭一の胸に頭をおくと、

「ごめん。」

私は、優しく遠ざけられた。


「…どうして?ギュウってしたいのに!キスだって、」

「それだけじゃ!…すまなくなるから…今、俺…」

「……いいよ…それでも、いいから…キスして…」