「またまた〜、迎えに来ちゃったりしてねぇ」

「そんな暇じゃねーよ」

「大丈夫。ここは敷居が高く思われてるから」

「特におまえじゃ、声なんか掛けられねーって。」

「なにそれ?」

「あそこにいる人と比べてみろよ。おまえ、猿だぞ」

「ふん。そんなこと言って、あとで泣いても知らないから!逃した魚は大きかったって、」

「なんだ?」

「学校が違うのって、別れた時にはイイかもね。」

「…俺、そういう冗談キライ」

「たとえ話でしょ。」

「…何のたとえだよ!」

恭一はスネて歩き出した。

「待って!」

慌てて歩み寄る私が、

「こうやって呆れられて、きょーちゃんが離れて行っちゃうことのだよ。」

と、言い訳をすると、

「なんでそんなこと考えるの?」

恭一は振り返って聞いた。

「だって、分かんないじゃん!まわりには可愛い子がいっぱい居るし、いつまでもきょーちゃんが、あたしの傍に居てくれる保障なんて無いもん!」

「またそれかよ!」

「…」


そして、無言のまま、
しばらく歩き続けた二人は、学校の前で立ち止まった。


「おまえのほうが、俺に嫌気がさすよ!頭悪くて、すぐ怒るガキだし…」

「なに〜急に?アハハ」

「それに俺、時折、おまえと…」

「え?」

「…なんでもない!ごめん。」