しかも、そのキスは、
私の下唇に吸いつくような、
初めての感触で…

私は、一瞬たじろいだ。

そんな私の後頭部から、
恭一の手で押さえつけられ、
さらに唇は密着した。

私は、緊張から目をつぶり、
恭一にキスを委ねるかたちとなり、

そしていつしか、私もつられて、
恭一の上唇に、軽く吸いついていた。


一度、唇を離したふたりは、
見つめ合い、テレ笑いを浮かべると、
オデコをくっつけ合った。


「唇がくすぐったいね」

 私が言うと、

「そうか?」と、恭一は返した。

「うん、なんか、不思議な感触だった。」

「どれ?」

「えー。」

確かめるように、
ふたりは、再度、唇を重ね合わせた。


「多分だけど、俺、男子校になると思う。」

「…そうなの?」

「多分だよ!」

「推薦、受けるの?」

「条件と合うかわかんないけど、考えてみるつもり。だから、おまえと一緒ってのはムリ!」

「それならそうと、早く言ってよね〜!」

「必死になってやんの。」

「信じらんない!」

「けっけっけっ!」

「…ねぇ。受験終わったら、すぐにデートしようね!…何処が良いかな〜。」

「まだ、早いだろ!」

「あ、合格祈願に行かないと!デートのお預けする前に、行っておこうよ!」