「…本多がさ、俺に推薦の話があるからって…」

「へー!す、凄いじゃん、それ!(初めて聞いたみたいに見えたかな?)」

「おまえはさ、将来なんて、もう、決めてる?」

「え、んー夢ぐらいなら漠然と…」

「別に俺、オリンピック目指してねーし。高校生活の中に、部活として陸上があればイイんだよなぁ。だいたい、続けられるか分かんねーじゃん…そうなると、退学とか、編入とかって面倒らしい。」

「大変なんだね」

「だろ!まだピンと来ねんだよ…なのに、やるだけやってみろ的な本多がムカついてよ〜!」

「ふっ、またまた〜!ホントは感謝してるくせに。」

「はぁ?何言っちゃってんの?」

「だから悩んでるくせに!応えたい気持ちと不安な気持ちに挟まれてんでしょ?」

「…俺は、兄貴みたいに、普通な高校生活が送れればイイんだ。」

「普通って?」

「バイトして…ふたりでどっか遊びに行って…兄貴見てて、早く大人になりたいって思ってたから、俺。」

「あたしも、きょーちゃんとは、ずっと一緒に居れるつもりでいたんだよね…」

「偏差値が違いすぎだよ。」

「そんなの、努力次第で、なんとかなるじゃん。でも、あたしには推薦されるような才能は無いし…」

「…」

「言っとくけど、きょーちゃんは、選ばれし者なんだよ!」

「ワケ分かんね〜。」

「それって、逆らっちゃダメだよ!」

「俺の人生なんですけど。」

「だったら、あたしがついていくよ!」