その日の帰り、

恭一は、担任に残るように言われていた。

話の内容に、見当がついていた私は、どうしても気になり、

気付けば、恭一の家の前で、独り帰りを待って居た。


「どうした?!」

本多との話を終えた恭一は、
意外と早い帰宅で、

「あー、お帰り!」

「って、何してんの?」

「話ってなんだった?」

唐突に尋ねる私に、

「…あがってく?」と、

長引く話を、覚悟させるかのように誘った。

「あ、うん。」


そして、エレベーターを待ちながら、

「今日の…第三志望校までって、書ける?」と、

早くも切り出す私。

「思いつかねー。」

「だよね。」

「…おまえは?」

「あたし?…んー、わかんないな〜まだ。」

「前に狙ってた女子校は?」

「え〜無理だよ、きっと…」

「そんな高いところ狙ってたのかよ!」

玄関のドアを開けながら恭一はつぶやいた。

「今、意外って顔したでしょ!」

「お前が女子校ってのも。」

「共学も受けるはずでした〜。」

「…。ガリ勉ヤローばっかだったんだろうな〜。」

「受験の時、あたしが風邪ひいて、良かったね!」

「そっちがだろ!」

「…今度はどうなるのかな?」