「なんだろう?」

「どうしたのかな?」

皆の不安が、高まりはじめた頃

掲示板がやっとつき、
思わず、私は目を見張った。

なんと、1着でゴールした学校が、失格となっていたのだ。


たちまち、何ヶ所から、歓声と悲鳴が湧いた。


表彰台に立つ、堂々した4人の姿に、

同じ学校の生徒なんだと
心から誇らしく思えた。


恭一は、ふたつの、銀色に輝くメダルを手に、

総体の幕は閉じた。


休み開けの全校朝会で、

選手団の健闘が讃えられ、
メダル保持者は、校長先生との握手があった。

しかも、恭一に至っては、
両手で、異常に長く、

観てる側からも、
本人がヒイているのが分かる程。


一時期、
問題児扱いにされていた恭一は、

今の状態を、どう受けとめているのだろう?


気取ることのない、
そんな未完成なスター性が、
あの日のスタンドを湧かせ、

真面目な者から、反抗的な者までをも、
総立ちで応援させたのだ。


なにより、感無量と言った面持ちの本多こそ、

誰よりも、こうなることを
願っていたに違いない。