鈴ちゃんはおかしなことを言っていた。

恭一と隆志が、
私のことを好きだとかなんだとか…笑える。

でも、他人に言われて好きになることがあるってことを、
私は知った。



小学校、最後の運動会でも
色別対抗リレーの選手に選ばれた私は、
放課後の練習に参加した。


そこには、4年から6年の、各クラスから選抜された、強者が揃っていた。


どんな顔が並んだのか、
キョロキョロと辺りを見渡せば、

当然のように恭一は居た。


先生の指示で、私は白チーム、
恭一は青チームとなった。

青チームとは、リレーでは競い合うが、
もとは同じ白組だ。

足の速い恭一の存在は、
有り難いが負けられないという、
なんとも複雑な気持ちだった。

しかも、
鈴ちゃんが変なことを言ったおかげで、
変に意識して、しょうがなかった。


各チームに分かれて作戦を練ることになった時、

すれ違った恭一が

「負けね〜ぞ」と、

私の髪を引っ張った。

それはそれは嬉しくて、

「はぁ?こっちこそ!」

言い返す言葉と裏腹に、笑顔で応える私が居た。


まずは、チーム内で走る順番を決めなくてはならなかった。


「どうしよっか?」

急に、やる気満々で進行をはじめる私は、ふと、目を止めた。