「なんでそんな風に考えられるの?」

「え、」

「女って切り替え早えーよな。人の気も知らねーでよ。」

「あたしは…」

「何回か手紙は貰ったけど、相手にしなかったから、知らないうちに俺、フラれててさぁ。」

「?」

「だって『彼女がいるのは知ってるけど、他にも、あなたを想っている人間が居ること忘れないで』って言われても、どうすれば良いか分かんねーし…」

(確かに。)

「そしたら『彼氏ができました。ごめんなさい。』だぜ!めんどくせーから、最近は読まねんだ。」


女の子には、そういうところがあることを、
鈴ちゃんや新井さんを見て、私は知っていた。


「じゃあ、やりとりはしたこと無いの?」

「内容知らねーもん。名無しの時もあるんだぜ、恐くて開けれねーよ!それに俺、彼女いるから…」


恥ずかし気もなく言う恭一に、

「…そんなに貰ってんだ?」

と、つっこむ私。

「ん?2、3回。」

「ウソだ!(そっか、あたしの彼氏はモテるんだ!…好きな人と、想いが通じることって、奇跡に近いのかなぁ)」

「どした?」

「え、あ、あたしは、書いたことも、貰ったことも無いから分からないや。」

「それは、防御線はってるから…俺が。」

「そんなことしなくても大丈夫です!」


本多の企みに、まんまとノセられた気もするが、

怪我をしてからの私にとって、
激動の数週間が幕を閉じた。