「…俺は美人なんかより、“陽菜”が良いんだけど?」

「……っ」



ひどい…!!

こんな街中でサラっと言うとか…



「顔真っ赤じゃん」

「…うるさい~っ」



成弥は、「はいはい」と軽くあしらった。


もうっ!!

成弥はほんとずるい!!



「あー…
レイちゃんと友達になりたい…」

「話戻すなよ」

「だってぇ~…」



レイちゃんは、去年…私が高校生になると同時に売れ出したモデルさん。

見えないけど、同い年…



「あんなに美人だと、素敵な彼氏いるんだろうねー…」

「さぁな」

「成弥みたいにかっこいい人なんだろうなぁ…」

「……………」

「成弥?」



あれ?

返事なし?


私が成弥の顔を覗き込むと、成弥は複雑な顔をしていた。


…なんで?



「なる…」

「“俺みたいに”って…
陽菜から見て、俺より良い人いるわけ?」

「ナルシ?」

「そうじゃねぇよ」



成弥は、怒った顔をする。


なんで怒るの?

自分でナルシ発言したじゃん?



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